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その1:夏キノコメモリー

≪注意≫
 本ブログはキノコ屋見習いの観察をざっくりまとめたもので、実際の同定に利用できるものではありません。キノコの正確な判別は経験者でも間違えることもある難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添ってもらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死んだり死ななかったりします。

 なお記事内容に訂正・補足がある場合はコメントなどでご指摘いただきたく存じます。



 まずはじめに、8月の観察記録です。
 なんで年の瀬も迫るこんな時期に8月の観察内容を記事にするのかというと単純に貧乏根性からですね。いや実際のとこお蔵入りにしてまた来年活動を始めてから書き始めてもいいんですけど、この日の収穫が稀に見る豊作だったものでして。正直これを記事にしない手はないなと思った次第です。なので読むときは暖房をガンガンにつけるか、逆に冷やしに冷やして矛盾脱衣でもしながら真夏の暑さを思い浮かべてみてください。私はコタツに入りながら書いてます。

 たしかあれは8月最後の週末のことです。私はレンタカーを借りて県北にあるお気に入りのフィールドへやってきました。……なんで来たんだっけな? そうそう、7月に来たとき未成熟な虫草をいくつか見つけていたのでそれが成熟していないか確認に来たのでした。だんだん思い出してきたぞ。いい調子だ。

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 初めに見つけたのは朽木生型の虫草。まだ未成熟ながらもこの外見は見た覚えがあります。この小ささと結実部を覆う細かい毛からヒメハリタケじゃないでしょうか。このポイントでは朽木生の虫草はあまり見ていなかったのでさっそくの発見にホクホク顔です。


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 ヒメハリタケを見つけた倒木のすぐそばの地面から顔を出していたのはシロサンゴタケ。マユダマタケの仲間でシンネマ(虫から伸びてる菌糸の部分)が枝分かれするタイプをこう呼びます。ただマユダマタケ自体が複数の種をまとめた大きなグループなのでその内細分化されていくのでしょう。宿主は甲虫の幼虫かな。


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 おっとこいつは嬉しい出会いだ! ムラサキクビオレタケの登場です! こいつ自体は以前虫草の師匠であるどろんこさんに坪(虫草が出るポイントのこと)を案内された時に見たことがあります。しかし自分のフィールドで見つけるのは初めてです。これでどろんこさんへの負い目を一つ減らすことができました。まあもともと感じてませんけど。
 宿主は甲虫の幼虫。名前の通り未成熟な段階から淡い紫色をしているとてもきれいな虫草です。成熟が進むとだんだんくすんでいってしまうのですが、これはまだそこまで行っていませんね。『首折れ』の名前の通り宿主の虫から伸びた菌糸が途中で折れ曲がり、そこに胞子を作る子嚢殻を形成します。クリーニングして気づきましたが、こいつ上の方の結実部とは別にもう一つ子嚢殻作ってますね。お得。



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 コケイロサラタケ。虫草じゃなくて普通のキノコ。名前の通り抹茶色をしています。画像のような苔むした材から出ていると本当に保護色のよう。個人的な経験則ですが、虫草を探しているとこいつによく出会う気がします。同じような環境が好きなのかもしれません。


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 最初シロツチガキだと思ってたんですけど、円座(中央のとんがったとこ)が明瞭だしフクロツチガキの方ですかね。ヒメツチグリ属の仲間で形態的に似ているツチグリとは別のグループで赤の他人です。私はツチグリに比べるとまだヒメツチグリの方が好きですね。というかツチグリがそこら中に生えすぎなんですよ。


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 よくわかんないの来たな……。ヒダの幅が狭い感じからしてモリノカレバタケ属の仲間かな。傘に赤みが強いのと束生(束になって生える)ことからカブベニチャあたりでしょう。一応食えるらしいですけど、美味いのかな?


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 タケリタケ! こいつはなかなかご立派な個体ですね。こうして見ると一本のキノコのようですが、こういう形のキノコというわけではありません。ベニタケやテングタケ、イグチの仲間に別の菌が寄生した姿がこちらです。なのでタケリタケというのは正確には表面を覆っている菌糸部分だけを指すわけですね。子嚢菌類で菌寄生菌ですが虫草としては扱われない子です。かといって普通のキノコとしても扱いにくいし……なんか、たらい回しにされてる孤児みたいだな。頑張れタケリタケ。形はあれだが応援してるぞ。


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 ハナサナギタケ。虫草は虫草ですがアナモルフ(無性世代・不完全世代)と呼ばれる形態です。白色が目立つのとそこらに生えてるので見つけやすい虫草。虫草を探し始めて最初に見つけるのはこいつか、コナサナギタケあたりなんじゃないでしょうか。宿主は名前の通りガの蛹で、この蛹の大きさで出てくる量が大きく変わります。この個体はまあそこそこ。大型のスズメガの蛹から出た日にはしだれ花火みたいなことになります。


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柄が偏心生で黒い。こいつはキアシグロタケでいいのかな? でもこんな淡い傘色だったかなぁ? う~ん、この手の奴らはよくわかんないな。そもそもキアシグロタケもまたいくつかに分かれるって話だし。


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 オオゴムタケ。中身は白くて半透明でぷるぷるしてるゼラチン状。しかしこいつは幼菌(右の写真)だと本と気持ち悪いな……。ゲゲゲの鬼太郎に出てきた野槌って妖怪がこんな感じでした。一回食べたことあるけど無味無臭でプリプリした食感を楽しむだけのキノコです。

 
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 この日一番の大物虫草、クチキカノツノタケです。以前未成熟なものでこいつじゃないかな? ってのは見たことがあるんですが、子嚢殻を作っているのを見るのは初めて。こいつの子嚢殻はアップで見るとかなり気持ち悪い。何でしょうね、乳房雲みたいな雰囲気です。
 何はともあれ、見つけたからには採取して胞子観察なども行いたいところです。幸い出ている材はぼろぼろと軟らかく、手持ちの彫刻刀でも簡単に掘ることができます。宿主も見えてきたし、これはもらったな。


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 ダメじゃねーか。
 思いっきりギロチンしてしまいました。ギロチンとは虫草屋の言葉で宿主(虫)と子実体(伸びてるキノコ部分)を切り離してしまうことを言います。これをやらかすと大体テンションが三割ほど下がります。つーかこいつ卑怯だよ。普通この手の朽木から出る虫草は脆くなった材の中にいることが多いのに、まだ硬い材の亀裂の奥から菌糸伸ばしてんだもん。これは仕方ない。うん、起こるべくして起こった事故という奴ですね。

 と、気分を入れ替えて向かった先は別の材。ここも7月に来たとき未成熟の虫草が出ていたポイントです。さてさて成熟しているかと覗いてみたところ、生えているのは生えていますがどうにも代わり映えしない様子。こいつら結局不稔で終わっちゃったのか。……いやいや、待てよ。それにしてはどうにも気になる。もしかしてこれ、

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 お前それで成熟してんのかよ! 小さすぎて肉眼ではわかんなかったわ!
 あまりの小ささにルーペだけでは確信が持てず、マクロレンズのカメラを駆使してようやくわかりました。ちなみに一番最初に乗っけたヒメハリタケの成熟個体です。

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 どれくらい小さいかというとこのくらいです。正気の沙汰じゃない。でもこんな小ささでも色味が白くて湿った材の上では結構目立ちます。大きさの割には見つけやすい虫草です。図鑑によると表面を白い毛で覆うタイプと覆わないタイプがいるそうです。ここで見つけたのは覆う方ですね。フサフサ。

 ちなみにこのヒメハリタケという名前、虫草とは別に普通のキノコの方にもつけられています。カノシタというキノコの仲間でこいつは傘裏が針状になっていることとよく似たシロカノシタより小さいということでヒメハリタケの名が与えられました。ただこれ、傘裏が針状なのはカノシタの仲間全部に言えることだし、ヒメってつくほど小さいというわけでもないのだそうで、神奈川キノコの会の図鑑では「コツブシロカノシタ」という名前を提唱しています。実際見分けるポイントは胞子が小さいという部分なので、実態を表したいい名前だと思います。虫草ともかぶっているし、私としてもコツブシロカノシタに賛成票。私ごときに賛同されて何になるって話ですけど。


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 お! こいつは……、いやちげーわ。虫草じゃないだろお前。一見するとハリタケ型の虫草に見えますが、こいつはクロサイワイタケ科のキノコ。虫草を探している環境によく生えているので虫草屋からは虫草モドキと呼ばれています。まあこいつも別に嫌がらせで似たような形になってるわけではないし、この仲間を専門にやってる人もいるんでしょうからそういういい方はよくないとは思いますが。……いや、いるのかな。これ専門でやってる人。


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 なんかの花。植物は全く分かりません。チューリップとタンポポの見分けがつくくらい。こういう普段見かけない花を見ると珍しいのかなと思って写真を撮ったりします。それで帰って調べたら外来種だったりしてね。


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 カメムシタケ。生えるとこにはやたらと生えている虫草の代表格。岡山県では県南、県北の両方で見つけていますが、数が多いのは圧倒的に県北。冷涼な気候が好きみたいですね。特にブナ帯があるような地域だと宿主のカメムシも種類が増えるというのもあるのでしょう。こいつが生えていたら虫草に適した環境ということで、目印として見つけたら周囲を探してみましょう。


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 また花。何で撮ったんだっけかな、これ。


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 アカイボカサタケ。赤くて傘中央にイボがあるのが特徴。ただダイダイイボカサタケとかよく似たのがいるとかなんとか話を聞きます。話を聞くのですが、実際どこがどう違うのかという部分までは知らないので判別がつきません。まあ困ったらアカイボカサタケ(広義)とでもしとけばいいでしょう。


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 これまたヒメハリタケに負けず劣らず小さな虫草。ウスキヒメヤドリバエタケです。宿主はミズアブの幼虫でいわゆるウジ虫ですね。このポイントは安定した発生地のようで7月にはアナモルフのマユダマヤドリバエタケと一緒にいくつか見つけています。こいつも涼しい気候が好きなようで(宿主の好み?)県北では3か所ほどで見つけている相手です。ちょくちょく見つけるので普通種かと思っていたのですが、割と珍しいほうなのだそうです。ただこいつもヒメハリタケ同様白色が目立つので小ささの割には見つけやすい相手です。白色は有情。


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 イヌガヤの葉っぱの裏にはハダニベニイロツブタケ。ハダニと名前にありますが、正確にはカイガラムシに寄生している虫草です。発見当初はハダニについていると思われてこのような名前が付けられたのでしょう。じゃあもう名前変えちゃえばいいんじゃねえの? と思うんですけどダメなんですかね。学名と違って和名なんて提唱したもん勝ちみたいなもんでしょうに。ボクトウガオオハリタケだって宿主がボクトウガじゃないってわかってイタドリムシオオハリタケって別名付けられたんだし。新称カイガラムシベニイロツブタケ……ちょっと長いか。


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 さあさあやってきました。今回の主目的の二つ目。こいつも7月に見たときは未成熟だったのですがしっかり成熟してくれてますね。明るい赤褐色のツトノミ型。これは間違いなく虫草でしょう。しかしクチキカノツノタケと同じように材の亀裂から出ているのは要注意ですね。こういう場合は材がまだ硬い深部に埋まっていたり、亀裂の壁面に癒着していて菌糸が切れやすくなっていたりします。さっき思い知りました。ここは一つ慎重に掘っていきましょう。クチキカノツノタケと同じ轍を踏むつもりはありません。私はこの日一番の集中力を発揮しました。

 道具:彫刻刀、ピンセット、ペンライト、小型ハサミ
 始めに周囲の材を彫刻刀で削り取って、


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ちくしょう!だいなしにしやがった!お前はいつもそうだ。
 
この虫草はお前の人生そのものだ。お前はいつも失敗ばかりだ。  
 お前はいろんなことに手を付けるが、ひとつだってやり遂げられない。
 
誰もお前を愛さない。

 はい、本日二度目のギロチンです。あれ? なんだろ、私って朽木生型は割と好きだったはずなのに……。え? こんな難しかったっけ? っかしいなぁー?
 まああれですよ、やっぱ亀裂のせいですね。今回採取した虫草の中でギロチンしたの二種だけでそのどっちも材の割れ目から生えてたやつですから。統計学的にもこれは亀裂から生えていたために失敗してしまったということができると思います。大体、ギロチンギロチンって騒ぎすぎなんですよ。そりゃあ宿主を見失ってしまったりすれば同定できなかったりもするでしょうけど、こうしてちゃんと宿主も採取してるわけですし。だからホント、勘弁してください……。
 さあ、そんなことよりも採取したこいつが何かという建設的な話をしましょう。きれいに採取された宿主は甲虫の幼虫だということがわかりますね。そして典型的なツトノミ型の結実部、なるほどなるほど。
 わかんないですね。なんでしょう、こいつ。クチキツトノミタケにしては色味が違うし、キマワリアラゲツトノミタケ? にしてはそれらしい荒毛が見えないし。図鑑見る限り、キソツトノミタケっての似ているんですが、残念なことにこいつからは胞子が採取できず確定するには至りませんでした。うーん、これなら下手に手を出さずそのまま置いといてやればよかったなぁ。

 この後沢沿いの斜面にへばり付いて移動してるところに沢登りの集団がやってきてぎょっとしたり(多分向こうもぎょっとしてた)、場所を変えるために移動したりしました。時刻は14時を回った頃合い。真夏の日は高く、まだまだ探す分には問題ない明るさでもさすがに疲れてきました。肉体的にも精神的にも。なのでちょっと目を休ませるために虫草探しを中断してキノコメインで探して歩くことに。このフィールドは虫草だけでなくキノコも多くみられる優良物件なのです。


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 アラゲホコリタケ……、もしくはアラゲホコリタケモドキ。実はどっちもまじまじと観察したことないんですよね。割とよく見かけてはいるんですけど。全体的に華奢で白っぽいのがモドキの方だそうですけど、はてこいつはどうだろうか。一番確実なのは胞子観察みたいです。こいつは確認してないのでよくわかりません。というか腹菌型のキノコって載ってる文献が少ないんですよ。誰か日本の腹菌型きのこみたいな図鑑作ってくれないかな。


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 ホウキタケの仲間。色味的にはキホウキタケハナホウキタケあたりでしょう。どっちも毒キノコです。基本的に全体に色がついてるホウキタケは毒だと思っとけばいいんじゃなでしょうか。でも綺麗なので撮影のしがいのある相手です。


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 キヒダサカズキタケ。以前は珍しいキノコの扱いだったのですが最近はそこそこ見つかってるとかなんとか、聞いたような聞かなかったような……。なんでこんなうろ覚えなんだ。人の話はちゃんと聞きましょう。まあキノコの場合、数が少なくて珍しいのではなくて単に探す人がいないだけっていうのがあるのでこういうこともよくありますね。分布域が広がっている可能性ももちろんありますけど。


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 ケロウジ。漢字で描くと毛老人。こいつが生える松山にはマツタケが出るという話を聞いたことがありますし、マツタケの出なくなった松山にこいつが出るという話を聞いたこともあります。どっちが正しいんだ。どっちが正しかろうとこの山では今のとこマツタケは見たことないです。生えてそうな気はするんですけどね。
 ちなみに滅茶苦茶苦いキノコで食用には不適。ただこの苦味が好きで食べる人もいるんだとか。蓼食う虫も好きなんとやらってやつですね。


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 コガネヤマドリ。お恥ずかしい話ですがちょっと前までこいつのこと「ヤマドリってあるけどヤマドリタケ属じゃないんだよなぁ」と思ってました。多分ヤマイグチ属のアカヤマドリとごっちゃにしてたんでしょう。れっきとしたヤマドリタケ属のキノコです。ごめんね。


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 キンチャフウセンタケかな。にしてもあんまり典型的な個体ではないな。ちょっと古いのだろうか。それとも同定をミスっているのだろうか。後者の気がする。


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 コナカブリテングタケ。名前の通り綿くずのような粉のような鱗片に全体を覆われています。ぼさぼさのもふもふ。柄には綿毛状のツバがあるのですが非常に脆くてすぐになくなってしまいます。形態的によく似たキノコにハイカグラテングタケってのもいますけど、こっちは半端なくでかいので間違えることはないでしょう。いや個体差とかそんなレベルじゃなくてほんとにでかいんですよ、ハイカグラは。コナカブリテングタケの傘径が3~6㎝なのに対して、ハイカグラテングタケは20㎝くらいになります。でっけぇ。


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 タマゴタケ。まだ傘が開く前の段階です。この場所では夏と秋の両方で見ることができます。柄のだんだら模様が顕著なものと不明瞭なものがいますが個体差のうちなのかどうか。優秀な食菌なのですがド派手な見た目からか知らない人からすると敬遠されるようです。以前知人にタマゴタケを採ったのでいるかと尋ねたところ、「もっとエノキとか、シイタケみたいなの採ってこいよ」と言われました。天然物だとエノキの方がよっぽど怖いんだぞ!


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 ニセアシベニイグチというキノコですね。肉は触れると青く変色する性質なのですが、かなり弱くうっすら変わる程度。若いうちは淡くふわふわした色合いの可愛いキノコ。古くなると汚くなります。何でもそうです。


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 チチタケ属不明種。いや今チチタケ属の周りって色々変わってるんだったな。チチタケ自体がツチカブリ属に入っちゃったし、チチタケ属って分類自体がもうないのか。前は乳液出ればその時点で属まで落とせたのになぁ。あー、旧分類のチチタケ属の何かってことで一つ。


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 クリイロイグチ。よく似た……いやそんな似てないけどクリイロイグチモドキっていうキノコもいます。
クリイロイグチは名前の通りの赤褐色で傘表面は無毛~ビロード状。三枚目はやや古い個体の写真で、こんなふうに傘の周辺部がしわくちゃになるのも特徴の一つ。モドキの方は全体に黄色味が強かったり、傘表面がモフモフのフェルト状をしています。


 クリイロイグチを撮影し終えて立ち上がると時刻は16時過ぎでした。まだ粘れないことはないけども帰りの時間を考えてそろそろ撤収しようと荷物をまとめます。帰り道は来た時と同じように浅い沢を長靴でじゃぶじゃぶ歩いていきます。途中、岸辺に何やら白っぽいものを見つけました。鳥の糞か何かかとも思いつつも、こういう時はとりあえず見に行くものです。大体鳥の糞でがっかりするのですが、今回はどうやら違ったようでした。


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 落ちていたのはクモのの死骸。しかしただの死骸ではありません。その表面を覆うように白い粒々があちらこちらから生えています。これは虫草の子嚢殻! ということはこれはクモ生の虫草か。トルビエラ属の何かだろうとあたりはつけつつ、これというものは思い至らない。とりあえず採取して胞子観察としゃれ込みましょう。

 こういう風に宿主が地面や朽木にもぐっていなくて露出している虫草を気生型と呼びます。気生型のいいところは何より採取が楽ということ。土を掘ったり材を削ったりする必要はありませんからね。その上クリーニングもいらないってんだから、もう見つけさえすればこっちのもんです。そんなわけでピンセットでつまみ上げるだけで採取できたクモ生虫草をお土産にまたじゃぶじゃぶと沢を下って行くと、

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 またいた。見る感じ、さっきのクモ生と同じ奴だろうか。先ほどの個体が地面に落ちていたのに対し、こちらは木の枝に糸と一緒に絡まっていました。どういう状態で感染したのだろうか。というか気生型の虫草が近場で二つも見つかるなんて、ここはもしかして結構いい坪なんじゃなかろうか。などと思いながらレンタカーに乗り込み私は家路につきました。帰りの道中は大収穫の成果を思い浮かべながら、さて仲間にどうやって自慢してやろうかとばかり考えていました。数少ない楽しみの一つです。

 家に帰り着いてからはPCを起動して個人的に付き合いのあるキノコ仲間たちと連絡を取りました。特に虫草に関しては前述のどろんこさんキノコ擬人化で知られるosoさんが色々と教えてくれるので、胞子の採取などを試みながらこの日見つけたキノコや虫草の写真を見てもらいました。やがて件のクモ生虫草の番になると、

私「これさー、トルビエラのなんかだとは思うんだけど、図鑑にそれらしいの載ってないんだよね」
oso「あれ、これってさ、ヌンチャクじゃない?」
どろ「ヌンチャクっぽいねー」

 いやこれは虫草であってヌンチャクではないよ。と一瞬思いかけましたが、そういえば確かそんな奴もいたなと思いなおしました。ヌンチャククモタケ(仮称)という虫草です。以前どろんこさんが熱心に探していたという話を聞いた覚えがあります。となるとこいつの胞子は……。

ヌンチャククモタケ(地)b×100  ヌンチャククモタケ(地)×200
 やはり! 見事なヌンチャク型です。胞子がこのようなヌンチャク型になるのが名前の由来。もっともまだ仮称段階のキノコで手持ちの図鑑には載ってないし検索をかけてもあまり情報も出てきません。今後も安定して個体を見つけることができるようなら何か研究の一助になれるかもしれませんね。osoさん達も案内しろ案内しろと言うので来年のスケジュールが合えば岡山虫草観察会を開いてみたいところです。今回の観察からあのフィールドはかなりのスペックを有しているのがわかりましたし、ベテラン勢の目が加われば更なる発見があるかもしれません。もしかしたら珍しい種が見つかって大騒ぎになっちゃうかも。

 そうなったら思う存分ドヤ顔できるな。
 うおー! やる気がわいてきた!


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